やきもの随想

「一焼き、二土、三細工」



粘土の来歴
土にも個性が
稲藁の痕
弥生の土(1)
弥生の土(2)
難波津焼



造形方法
美の背景
ビールマンとフォスベリー、そして末續慎吾


釉薬とは
灰の不思議
灰汁



焼成方法
火=炎の力




陶芸とやきもの
偉大な韓国人
感性的感情
劫の想像力
水晶を飼う

造形方法


やきものの形を作るにはどんな方法があるのでしょうか?

工場などで大量生産する場合は、石膏などで製品の形に対応した型を作り、その中にどろどろに溶いた粘土を流し込んで作る鋳込みという方法が主流だそうです。溶けた金属を鋳型に流し込んで作るのが鋳物ですので、鋳物の作り方と原理的には同じと思います。
 またロクロの中心に取り付けた石膏型に粘土を押し付け、コテと呼ばれる型板で石膏形に沿って同心円状に伸ばして形を作るのが機械ロクロによる成形です。植木鉢などを量産するのに使われるそうです。
 さらに粘土の粉末を金型と高圧プレス機を使って押し固める方法を乾式プレス成形と言うそうですが、工業用セラミックスのほとんどがこの方法で作られているようです。
このように量産工場では寸部違わない食器や技術の粋を結集した精密部品のセラミックスが生産されています。個人の手わざとは違う世界が広がっているといえます。

ところで私たちが普通に使っている技法は電動ロクロによる方法です。大きな土の固まりをロクロの中央に据え同心円の食器などを大量に作るのに適しています。湯呑や飯碗、小鉢や小皿などひとかたまりから15〜30個くらいできます。ひとかたまりの粘土から大きい作品を作ることもできます。以前はより熟練した技術が要求される手回しロクロや蹴ロクロで作っていましたが、今では電動ロクロが主流です。
 また、棒状に伸ばした粘土を輪積みにして作る方法や、粘土の固まりをくりぬいて作る方法もあります。さらに、高さの高い直方体の粘土を厚さ5o〜1pの厚さでスライスし周囲をわずかに上げれば、その厚さの角皿がたくさんできます。缶コーヒーなどにスライスした粘土を1周巻きつけ、底を貼り付けても器になります。石膏で型を採って、作る方法もあります。
ひざ頭や肘に粘土を押し付けてもちょっとした器になります。発想を柔軟にすれば、やきものの形を作る方法はまだまだあります。

 自由な発想と確かな技術、そして土それぞれの持ち味を生かした形を作っていくことが大切だろうと思います。しかし発想や技術とは別に、そのときどきの気持ちが形に反映されるのでこわいです。





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