やきもの随想

「一焼き、二土、三細工」



粘土の来歴
土にも個性が
稲藁の痕
弥生の土(1)
弥生の土(2)
難波津焼



造形方法
美の背景
ビールマンとフォスベリー、そして末續慎吾


釉薬とは
灰の不思議
灰汁



焼成方法
火=炎の力




陶芸とやきもの
偉大な韓国人
感性的感情
劫の想像力
水晶を飼う

ビールマンとフォスベリー、そして末次慎吾


ビールマンとフォスベリー、私のなかでは特別な位置を占めている美しい名前です。

ビールマンはフィギャースケートで、《まっすぐに立って、片足を頭より高く後方垂直近くまで上げ、両手でその脚を支えるように持ち、高速でスピンする》あのビールマンスピンの技を生み出した選手です。

フォスベリーは走り幅跳びで、《助走をつけてバーに向かって走り、踏みきった瞬間、おなかの方が空のほうを向くようなく空中姿勢をとって、背中の面でバーを越える》あのフォスベリージャンプを生み出した選手です。
両者とも従来まったくなかったフォルムを生み出した創造主といえます。

ビールマンスピンの美しさは、アクロバット的な意表を突く形態に人体を変形させますが、そのフォルムはいやみがなく、胸部からスケート靴を両手で支える指までの柔らかで優雅なラインと垂直に伸びる脚部のラインが見事な人体美をつくっているのです。それは新しい人体形態美といえましょう。ビールマンはその一瞬、人間ではなく鶴かダチョウか違う生き物の気分を味合ったのかもしれません。そして片足で高速スピンすることで、私たちは人体形態美の軌跡を見ることになります。これは氷上でしか存在しない美しさです。

フォスベリーは重力の呪縛から己の身体を解き放とうとした偉大な選手です。1968年のメキシコオリンピックではじめてこの飛姿を披露し、見事金メダルを射止めました。

そして今、末續慎吾が世界の常識を覆す走法で新たな可能性を追求しています。走る姿に無駄や無理がなく風のように走り抜ける感じです。

やきものの造形にも、アッと驚くような未知なるフォルムがあるはずです。しかもその形は何か新しい世界を開示するような。






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