やきもの随想

「一焼き、二土、三細工」



粘土の来歴
土にも個性が
稲藁の痕
弥生の土(1)
弥生の土(2)
難波津焼



造形方法
美の背景
ビールマンとフォスベリー、そして末續慎吾


釉薬とは
灰の不思議
灰汁



焼成方法
火=炎の力




陶芸とやきもの
偉大な韓国人
感性的感情
劫の想像力
水晶を飼う

釉薬とは


[釉薬]は「うわぐすり」あるいは「ゆうやく」と読みます。
釉薬は器の表面をおおって器を丈夫にしたり、やきものを美しく見せたり、水分がしみ込むのを防いだりする働きがあります。

 では釉薬はいつごろ、どのようにして発見されたのでしょうか?
縄文土器や弥生土器には釉薬はかかっていません。古墳時代になると須恵器が作られるようになります。須恵器には1200℃近くで焼いたものもあって、表面に灰がかかった跡が残っていたり、なかにはその灰が溶けているものも見受けられます。もちろんこの灰は燃料の木の灰です。当時の人は《溶けた灰の表情を艶やかで美しい》と感じたのでしょう。
やきものを焼くために燃やした木の灰にそんな効果があることを発見したのでした。
 そこであらかじめ木を燃やして灰を集め、その灰を器の表面に施せば美しいやきものになり、水も漏らないやきものができることを知ったのでした。
奈良時代、平安時代と須恵器は焼き続けられますが、釉薬の研究も次第に進み、器面全体を飴色や緑褐色でおおう技術も生まれてきました。

 現代の釉薬にも木の灰は使われています。
木を燃やし灰を集め、目の細かい篩(ふるい)でこした灰をバケツに入れます。そこに水を適度に加えて手で満遍なくかき混ぜます。そこに素焼きした器を5〜10秒浸し、引き上げ、底の部分をスポンジで拭取って、1200℃で焼けば立派な釉薬のかかった器が完成します。
実際には木の灰だけでは釉薬が溶け過ぎてしまう可能性が高いので、わらを焼いた灰や粘土、時には鉄や銅、コバルト、チタンといった金属材料を加えて釉薬を作ります。金属材料は釉薬の色と深い関係があります。

釉薬の調合次第でいろんな表情を持つやきものができます……
光沢のあるやきもの/シットリとしたもの/カサカサしたもの。
黒や白、茶色や黄色、赤、青、緑、などさまざまな色のやきもの。
みなさんはどんな表情がお好みですか?







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