やきもの随想

「一焼き、二土、三細工」



粘土の来歴
土にも個性が
稲藁の痕
弥生の土(1)
弥生の土(2)
難波津焼



造形方法
美の背景
ビールマンとフォスベリー、そして末續慎吾


釉薬とは
灰の不思議
灰汁



焼成方法
火=炎の力




陶芸とやきもの
偉大な韓国人
感性的感情
劫の想像力
水晶を飼う

難波津焼


《難波津焼(なにわづやき)》っていう言葉、お聞きになったことありますか?今の大阪で生み出されているやきものです。

大阪新名所、海遊館のある天保山からATCやWTCのあるコスモスクェアへの海底に、鉄道と車の専用のトンネルが開通したのが平成9年12月のことでした。
この海底トンネルを造るとき、大阪港の海底から粘土が大量に掘り出されましたが、この粘土を利用したのが《難波津焼》です。ご存知のように大阪の古称は難波で、大阪港のそれは難波津というところから《難波津焼》の名称になったようです。

もとより大阪は古墳時代、土師器、須恵器の一大生産地で須恵器の技術は大阪から日本各地に広がったとも言われています。須恵器はロクロを使い大量の製品を同一規格で窟窯(あながま)を使って1000℃以上で焼くなど、それまでの土器には見られない画期的な技術を用いたと言われています。大げさに言えば、日本の本格的な窯業の歴史は大阪から始まったとも言えそうです。《難波津焼》の名称にはそんな想いが多分に込められているように思います。

ところでこの難波津焼を生産しているのが舞洲(まいしま)陶芸館です。
舞洲は大阪北港に位置する人口の島で、舞洲アリーナ、野球場、サッカー場、テニスコートやログハウスを備えたオートキャンプ場などがあります。そんなところにある舞洲陶芸館は、本格的な電気窯、ガス窯を備え、なんと登り窯まであります。大阪市内に薪で焼く窯があるなんて驚きですね。もちろん消煙装置がついています。
《難波津焼》は大阪港の海底粘土だけでは耐火度が弱いため、カオリン(磁器を作る粘土)を混ぜて作っています。釉薬には淀川河口付近の沈殿土や葦の灰などから精製調合したものも使っているそうです。
舞洲陶芸館では《難波津焼》の研究、開発、生産のほかに陶芸教室(1日体験教室、1年間通しての教室)を開いています。興味のある方は問い合わせてみてはいかがですか。
舞洲陶芸館 (06)6463−7282






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