徒然の記

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2004年8月1日(日) 突然の来客

今日は突然の来客。地元少年ラグビーチームのメンバーと父兄、コーチ、監督の訪問を受けたました。『収穫祭』ということで野外でみんなで食事をし、スイカ割りなどして夏休みの一日、楽しく遊ぶ予定だったようですが、突然の雨、急きょ工房での食事会となり、私にとって大人数の小学生と久しぶりに接することとなりました。
ロクロをしていると集まってきて、好奇心の塊である彼らに矢継ぎばやの質問を受けました。
「この土はどこの土?」「粘土と土は違うの?」「この値段はいくら?」「1000円?」「一日に何個できる?」「一時間では?」「失敗することある?」「テレビにでたことある?」「お皿作ってみて」「壺を作って」………

「この土、少しちょうだい」と言って、ほんとに小さい物を何人かが作っていました。
またあまりにロクロの作品を欲しがるので、小さい壺を作って手のひらに乗せてあげると大喜び。我も我もということになりました。
ところが、どういうわけか自分で作った物も、手のひらに乗せた小壺も焼いてくれ、とは言わないのです。持ち帰ったのでしょうか?工房には見当たりません。
おそらく、遠慮していたのでしょう。
ただ少年の作った小品がひとつだけ見つかりました。焼いておきます。


工房の内でも外でもおいしいカレーライスを食べています





2004年8月2日(月) 甲骨文字

亀の腹甲や牛の肩甲骨に刻まれた記号のようなものを「甲骨文」というそうです。中国の殷代(AC1550〜AC1130)頃、続く西周代にも「甲骨文」の存在が確認されているということです。銅あるいは青銅の先端を尖らせて、削るようにして刻んだと類推されています。
甲骨文の拓本を見ると、肉筆とは違って、刻んだ線のみずみずしさ、初々しさが感じられます。筆で書くことに比べると、線を刻むことははるかに不自由な行為です。技巧的でも作為的でもない甲骨文の線と文字は自立しているようにみえます。木の枝や葉のように。
やきものでも面取りや線彫りなどの技法がありますが、甲骨文字のような構えが大切なのかもしれません。

2004年8月3日(火) 野間の大ケヤキ

能勢町が誇る「野間の大ケヤキ」です。国指定の天然記念物です。このケヤキにはアオバズクが毎年5月頃やって来てこの時期に子どもと一緒に東南アジアの方に渡って行きます。アオバズクは渡り鳥です。アオバズクを撮ろうと思ったのですが、7月29日に旅立ったと言うことです。


「野間の大ケヤキ」 国の天然記念物に指定されています

2004年8月4日(水) 断崖と絶壁

先日ラジオで俳人の鷹羽狩行さんが「断崖」「絶壁」という言葉について興味深い見解を語っていました。普通、「断崖」も「絶壁」も同じような意味で使い、「断崖絶壁」はより強調したいときなどに使います。
ちなみに広辞苑によりますと、
「断崖」…きりたっているけわしいがけ
「絶壁」…けわしく切り立ったがけ
「断崖絶壁」は記載されていません。
断崖も絶壁もけわしいがけの意味で、ものとしては同じです。

鷹羽さんは「断崖」と「絶壁」は違うとおっしゃいます。
「断崖」は作者がそのがけの下にいて使う言葉で、「絶壁」とは上にいて使う言葉だと。
俳句は17文字のなかに思いを込めるため繊細な言語感覚が必要なのだと、あらためて感じました。
そう思えば、「そそり立つ断崖」とは言っても、「そそり立つ絶壁」とは言わないように思いますし、「足元は絶壁」とは言っても、「足元は断崖」とは言わないように思います。


2004年8月5日(木) 逃げたアイガモ

前夜の大風で田んぼのアイガモが倒れたネットの間から逃げてしまいました。
この圃場は7月27日にちょっとふれました同好の志が作っているアイガモ農法の圃場です。餌でおびき寄せて無事、元に戻りました。

倒れたネットから出入り自由


「土手にも2羽いる」「えっ、どこに?」     「あそこ」「ほんとだ」


餌でおびき寄せて元に戻す作戦


ほとんどが戻ったようだ。でも定員オーバーか!


ネットを直して一安心     アイガモ「また逃げてやる」

2004年8月6日(金) 言葉の使い捨て

先日から取り掛かっていた電動介護用ベッドの映像の仕上げとして、今日、ナレーションを入れました。スポンサーの方やナレーターの方との話題の中で、「ファジー」や「1/Fのゆらぎ」など一時はやった言葉はどこに行ったのでしょう?ほとんど使わなくなりましたね。という話になりました。

帰りのラジオ。
NHKの情報番組で地方の役場の担当者「・・・・・が開かれています。この期間に行けば、特別な『こうどく』があります。」
男女のアナウンサーは『こうどく』には触れず、話をあわせていました。
お寺の話題で『こうどく』。『くどく(功徳)』のことだったのでしょう。
同じく、NHKの人気深夜番組、ラジオ深夜便でのこと。番組を聴いている方からの手紙を読むコーナーで昔の農作業を紹介する場面、アナウンサーは躊躇しながら「トシミ」と読んだのです。
「トシミ」?………何のことだろう?
なーんだ、「トウミ(唐箕)」のことか。
ベテランのアナウンサーですが、都会育ちなのでしょう。

言葉の流行り廃り、勘違いや思い込みによる言い間違いは昔に比べて多いように思います。
という私も無知なのですが。

2004年8月7日(土) 階層構造

何年か前、PCに初めて接して驚いたことは階層構造です。CとかDのハードディスクを開くと、いろいろな種類のフォルダーがあり、ひとつのフォルダーを選んで開くと、さらに次のフォルダーがあります。次々と開いていっても次から次へとフォルダーがでてきます。最後にやっとファイルが現れ、それを開くとファイルの内容が表示されます。その時の驚きはもうどこかへ行って、当たり前のこととして考えていますが、情報の整理の仕方は見事なものです。ところで人の頭の中の記憶はどのように整理されているのでしょうか?

2004年8月8日(日) 窯詰め

きょうは窯詰め。
明日は、窯を焼きます。
ご近所の方、見学に来てください。

2004年8月9日(月) ツクツクボウシ

工房付近ではこの時期朝の4時45分頃、突如虫が鳴き始めます。

今日はツクツクボウシの声もあちらこちらで聴こえています。
ツクツクボウシの声を聞くと夏の終わりと言う感じですが、まだまだ暑い夏は続きます。

2004年8月10日(火) 窯焼き

昨日午前11時に開始し、今日の午前7時15分終了しました。
恩師の絶学無為の閑道人がかけつけ、興味深げに眺めていました。

絶学無為の閑道人。昔とった杵柄、うまいものです。いっけん武道家のよう。


灯油と薪の併用の窯です

絶学無為の閑道人のホームページ
http://hccweb5.bai.ne.jp/abumi

2004年8月11日(水) 「前畑ガンバレ」

アテネオリンピックが目前に迫っています。
昭和11年のベルリンオリンピック、女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得したのが前畑秀子さんです。
NHKの河西三省アナウンサーがラジオの実況放送で「前畑ガンバレ」を幾度となく繰り返した絶叫アナウンスは有名で、ことある毎にテレビやラジオで当時の放送の模様が流さているので私たちもよく知るところです。あの放送で日本中が沸き立ったことでしょう。
日本女性初の金メダルで、今から77年前の8月11日のことだったようです。
アテネでも多くの選手のメダル獲得が期待されています。暑い夏は続きそうです。
私は、明日から帰省します。数日間『徒然の記』もお休みです。

2004年8月12日(木) 夢前(ゆめさき)

中国自動車道を走っていると夢前(ゆめさき)というところがあります。兵庫県で福崎ICと山崎ICの間です。私の学生時代からの友人の上野君が中国自動車道の建設に携わった工区で、家族と一緒に帰省するときはいつも「ここは上野君が作ったところよ」と説明していました。
もう30年も前になるでしょうか。現場が休みの日に一度お邪魔したことがありました。上野君の釣好きの仕事仲間がやまめをたくさん釣っていたのが思い出されます。彼は今、鹿児島に帰りランをたくさん育てているそうで、自然好きは変わらないものなんだなと妙に納得しています。
夢前という美しい地名とともに一度しか会ったことのない彼のことが何故か気に掛かります。

2004年8月13日(金) 善大君。残念

7月31日の徒然の記で囲碁方因坊戦のことを書きました。この一戦に勝てば来期の方因坊リーグに入れる戦いで植木善大君、4目半負けました。昨日のことです。残念です。
捲土重来を期しましょう。

2004年8月14日(土) 

夏は蚊との戦いです。
草刈をしていてもどこからともなくすぐ人間の気配を感じてやってきます。草刈機のエンジン音が鳴り響こうとお構いなしです。蚊取り線香を腰にぶら下げて蚊の接近を許さないようにして作業を進めなければなりません。
また扉や窓のわずかな開け閉めを狙って進入してきます。暗い中での蚊の音の接近は許しがたいものがあります。蚊が好きという人はまずいないでしょう。
これほどまでに人間に嫌われる虫も不便です。

2004年8月15日(日) 恵みの雨

このところ日照り続きで農家にとっては朝夕の水遣りが大変な作業だったことでしょう。下関の方では未明から午前にかけて結構な量の雨が降りました。大地も水を含み、気温も下がったようです。恵みの雨になりました。

2004年8月16日(月) 蜘蛛も500q移動

今日、大阪に戻ってきました。
下関を発つとき車の後部に蜘蛛が巣を張っていましたが、そのまま大阪に向かいました。
大阪についてもその蜘蛛は、巣の中央に陣取っていました。


500q以上、中国自動車道を移動してきた蜘蛛


2004年8月17日(火) 蜘蛛も工房の住人に

昨日の蜘蛛。朝には壊れた巣をすっかり補修して居ました。
車から逃げる気配もなく、住み着くつもりでしょか?
工房の草の上にそっと、移してやりました。

2004年8月18日(水) 

私は物質のテクスチュア(表面の質感)に関心があります。
工房の周囲にある木のテクスチュアを紹介しましょう。
カメラを向けると、ついついフォルムも気になり、欲張ってしまいます。

今日は工房にある柿木です。
60代の村の人が少年時代この柿木に登ってよく遊んだとおっしゃる。
かなりの古木のようです。


なんともいえない表情のこぶがある


右に90度移動して撮影した。画面左下はこぶ。


2004年8月19日(木) 

工房の入り口にあるこの桜は大木ですが、35年しか経っていないということです。
桜は意外と短期間で成長するようです。


右に見える木は根から二股に分かれている一方


2004年8月20日(金) クヌギ

樹皮の深い割れ目が面白いのがクヌギです。
クヌギのドングリは丸くて大きく、子どものころコマなど作って遊んだものです。
今では私にとってドングリのハカマのほうが大切なものになっています。


このクヌギにクワガタムシがたくさんやってきた年もあった


2004年8月21日(土) ポイすてアカン

兵庫県猪名川町から篠山市に通じる道路の篠山市に入ったところの峠にご覧のような立て札を見つけました。


峠のカーブに設置




2004年8月22日(日) 逃げたアイガモ(続)/ガムラン

稲が穂をつけはじめています。
今までは雑草や昆虫を食べてくれていた食欲旺盛なアイガモがその穂を狙うことになります。
そこで、3枚の圃場にいるアイガモを一箇所に隔離することになりました。
2時間以上にもわたる捕獲作戦、住処作りで皆さんクタクタのご様子です。
あと、雨や太陽から避難する場所を作れば、ひと安心です。
皆さんお疲れ様でした。






複雑で優美な響きを奏でるのがインドネシアの伝統音楽のガムラン。
日本でも屈指のガムラン楽団が大阪豊能町を拠点とするマルガサリ(MARGA SARI)です。
今、マルガサリの音楽顧問のシスワディ・ダルモスマルト(インドネシア国立芸術大学教授)さんが来日し、マルガサリのメンバーは集中的にトレーニングを受けているようです。
メンバーの松宮さんが同じくメンバーの田渕さんとシスワディさんを連れて工房にやってきました。楽しいひとときを過ごしました。

ロクロをしているのが松宮さん。なかなか上手です。


マルガサリのホームページ
http://margasari.com

2004年8月23日(月) ラグビー少年の小品

8月1日の徒然の記でふれていますが、ラグビー少年の小品ひとつ焼きあがりました。
器用に上手にできています。


2004年8月24日(火) 孟宗竹

4月の下旬から5月上旬にかけて生える孟宗竹のたけのこもこんなに大きくなりました。
一年目の竹はいまだにみずみずしく、緑も浅く、粉をふいたような風情も残しています。
冬を越すと大人の仲間入りをするのでしょうか。


初々しさを残す今年生まれた孟宗竹


2004年8月25日(水) 

能勢の栗は大粒で味の良いことで有名で「銀寄」の品種は能勢が原産です。
栗の木はクヌギの樹皮に似ていますが、クヌギと違って昆虫は来ません。
写真の「銀寄」は見事な古木です。


9月下旬から10月上旬にかけて収穫される


見事な古木、風格を感じる


2004年8月26日(木) 炭窯

工房の近くの里山に入ると、今は使われていない炭窯を発見することがあります。
昭和30年代までは盛んに生産されていたようです。
池田炭の名で知られる能勢の炭は、切り口を見ると中心から周囲に向かって規則正しくヒビが入っていて菊の花のようにも見えることから「菊炭」とも呼ばれ、お茶の世界ではブランド品です。豊臣秀吉も茶会で使ったという話です。
今でも能勢で池田炭を作っている人がおられますので、またの機会に紹介しましょう。


今は生産されていない炭窯


炭窯の前で仰向けに寝転んでパチリ。ポッカリと空が開いて気持ちいい



2004年8月27日(金) 

杉は松と並んでなじみ深く日本特産の木です。
製材して建築用材によく使われています。
杉の皮は比較的簡単に剥がれます。
以前、水上勉さんの小説「しがらき物語」に杉が窯焚きの燃料に使われているという記述を読んで驚いた経験がありますが、信楽は今も昔も登り窯には松の割り木を使っています。やきものに造詣の深い水上さんが間違えるわけはなく、何かの勘違いか、おそらく誤植だろうということで納得したものでした。


2004年8月28日(土) 

杉の次は檜(ヒノキ)でしょう。
樹皮は杉と見分けがつきにくいくらい似ていますが、葉を見れば区別がつきます。
杉に比べて成長が遅く、神社仏閣にも多く使われ高級感があります。法隆寺を1300年支えてきたのも桧です。
杉に比べて油分を多く含み、火力も強い。


檜の枝は水平にのびる


2004年8月29日(日) 秋の気配

さしもの残暑も勢いを弱め、秋の気配が漂ってきました。
強力な台風が明日にも九州に上陸すると言います。
オリンピックも明日で終わり、なんだか一気にさびしくなりそうです。



もう、ススキが


2004年8月30日(月) 藪椿

藪椿(ヤブツバキ)は日本原産です。
樹皮は灰白色で不規則に模様が入り、杉や檜とは対照的に滑らかです。
以前は種子から採った椿油は髪油として使われていました。
花は首からポトリと落下します。「落ち椿」と言って俳句の季語にもなっています。


風格のある藪椿。蚊に刺されながら撮影


2004年8月31日(火) 8月も終わりです

●今年は台風がよく襲来します。
 1949年の今日、キティ台風が関東を襲い135人の犠牲者がでたそうです。
 55年前のこと。
●スーパーのダイエーが苦しんでいます。
 1972年の今日、半期売り上げ1328億円で三越を抜いて業界トップの座に着いたそうです。
 32年前のこと。
●ダイアナ元英皇太子妃が交通事故でなくなったのも1997年の今日のことです。
 7年前のこと。

2004年の8月も終わりました。
 

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